【犬神家一族】1977年の映画では、お琴の先生が何者なのかについて書かれていませんでしたが、原作小説には、きちんと書かれれています。
本日は、松子のお琴の先生の正体について書かせて頂きます。
※思いっきりネタバレになりますので、知りたくない方は回れ右でお願いします
【犬神家の一族】松子のお琴の先生、香琴先生の正体とは!?
香琴先生は、ズバリ、青沼静馬の母、青沼菊野でした。
彼女は、薄幸な女性でした。
50歳を過ぎた佐兵衛翁から寵愛を受けるも、それを知った松子・竹子・梅子3姉妹の猛烈な反対にあいます。
そして、菊野は佐兵衛翁のこどもを身ごもり、三種の犬神家の神器「斧・琴・菊」を授けられ、三姉妹の目に触れぬように農村に身を隠します。
三種の神器を菊野に与えたことを三姉妹が知ると、3人とも鬼と化してしまいます。
これは、わたしは佐兵衛翁が悪いと思うのです。
松子・竹子・梅子のそれぞれの母と、松子・竹子・梅子に一切の愛情を与えませんでした。
そこまで、露骨に愛情を与えないには、それ相応の理由が佐兵衛翁にありました。
しかし、わたしには佐兵衛翁の身勝手としか思えませんでした。
話はそれてしまいましたが、鬼と化した三姉妹は、犬神家の財力をもってして菊野の居所を探し当てました。
そこには、息子を授乳している菊野の姿がありました。
それを見た3姉妹は、狂気の怒りを持って菊野にひどい折檻をします。
3種の神器を取り返し、菊野に二度と佐兵衛翁に近づかないようにと言い放ちます。
酷い仕打ちを受け、さらに静馬の命の危険を感じた菊乃は三種の家宝を3姉妹に返し、恨みの言葉を三姉妹に残しました。
これが、青沼親子の、斧(よき)・琴・菊の三種の家宝の怨念です。
その後、静馬は親戚に預け、自身も身を隠します。
そして、30年の月日が経ち不思議な縁で、松子のお琴の先生となります。
最初は、身震いするほど犬神家に入るのが嫌でしたが、菊野のお師匠さんが倒れたことにより、どうしても犬神家に入らなくてはなりませんでした。
菊野は、顔が傷だらけで、しかも目もあまり見えません。
昔と顔かたちが違いすぎる為、気づかれないことのかけ松子の琴の先生となります。
そして、その通り、松子や他の姉妹も気づくことはありませんでした。
この時にはすでに、菊野にはもう犬神家への恨みはありませんでした。
ただ、菊野は3姉妹に折檻され、また顔に傷がつきひどい目にあったのは本当に哀れです。
そして、菊野の息子、静馬も不幸です。
佐兵衛翁を父と知らず育ち、戦争で顔は化け物にように醜くなり、最後は湖に突き立てられて殺されてしまいます。
この親子がもう少し幸せになってほしかったな、というのが本を読んだ感想でした。
青沼静馬が香琴先生を気遣う場面
小説で、スケキヨに化けた青沼静馬が香琴先生を気遣う場面が小説であります。
松子も違和感を感じているようですが、読者もこの場面で「ん?」と思った方は多いのでは?
眼の不自由な香琴師匠は、もとよりそんなことには気づかず、依然として腰をうかしたまま、動悸をおさえるような恰好をしている。そして、そのそばには佐清が、手持ちぶたさらしくひかえてりう。どういうわけか佐清は。さっき香琴師匠があっと叫んで腰をうかしかけたとき、反射的にそばへとんできて、まるで抱きとめるような恰好をしてのである。
出典:犬神家一族小説より
最後に
松子のお琴の先生、香琴先生の正体とは、佐兵衛翁の愛人だった青沼菊野でした。
また、青沼静馬の母でありました。
小説を読んだのですが、使われる文体が昔の表現だったりするのですが、それがまたこのおどろおどろしい世界観にあっていてよかったです。
アガサ・クリスティーなどのミステリーが好き!また、日本の因習やおどろおどろおしい和の世界が好きな方は、横溝正史さんの金田一耕助シリーズをお勧めします!
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ここまでお読み頂きありがとうございました。
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