本日は、【青くて痛くて脆い】の小説版のあらすじ・ネタバレを書かせて頂きます。
どうぞよろしくお願い致します。
原作【青くて痛くて脆い】は、【君の膵臓を食べたい】で一躍有名になった住野よるさんの代表作です。
一言でこの本を言い表すと、【ほろ苦い青春の思い出】です!
自分の学生時代の痛さや青さを懐かしく思える年代の方に、ピッタリの小説ではないでしょうか?
目次
【青くて痛くて脆い】あらすじ・ネタバレ|秋好が死んだのは真実?

大学に入ったばかりの楓は、大学の講義で秋好と出会います。
秋好は、授業中に子どものような理想論を発言する為、周りから煙たがられています。
そんな秋好に、ひょんなことから声をかけらる楓。
最初はなるだけ秋好を避けようと思っていた楓でしたが、いつの間にか秋好の純粋さ真っすぐさに惹かれるようになり、2人で「モアイ」というサークルを作ります。
【モアイ】は、世の中を良くしたいという思いで秋好が立ち上げました。
最初は、2人しかいなかった【モアイ】ですが、段々とその活動が大学に認められ部員も増えていきます。
立ち上げた当初の目的と、どんどんとかけ離れていくモアイ。
そんなモアイに居場所をなくした楓は、モアイを去ります。
しかし、辞めたからもモアイの変貌を端で見ていた楓は、【秋好の嘘】を本当にするためにモアイを内側から潰そうと決意し、友達を巻き込み行動していきます。
その先に待つものは、希望か?痛みか?
【青くて痛くて脆い】登場人物
田端楓(たばた かえで):
商学部に通う大学生。
18歳までに「人に不用意に近づかない事」、「誰かの意見に反する意見をできるだけ口にしない事」の2つを信条にしている。
モアイの設立に参加したが、モアイが理想と違ってきたと感じ、モアイを脱退した。権力闘争に負けたようなものだと考えている。
大学4年生の時に1年生の時に秋好と設立した時の理想のモアイを取り戻すため、モアイを壊し、再生させようと決意する。
その手段としてモアイのスキャンダルを探す。
秋好 寿乃(あきよし ひさの):
茨城県出身で政治経済学部に通う大学生。
大学入学時の信条は「なりたい自分になる」。
サークル「モアイ」のリーダー。
みんなを幸せにするという理想は最後まで貫いていたが、サークルメンバーの理想論的な提案を「現実的に難しい」と却下するなど徐々に現実社会に合わせて理想を追求するスタンスに変わっていった。
董介(とうすけ):
田端のバイト友達、大学生。
意識高い系の学生が集まる「モアイ」を嫌っており、モアイを壊す手伝いをするが、スパイとしてモアイに潜入し、モアイのメンバーたちと交流する事によりモアイを壊す手伝いから降りる。
ポンちゃん:
愛媛県出身。薫介のゼミの後輩。モアイの幽霊部員。高校生の時から付き合っている彼氏がいる。また、本名は本田朝美である
川原理沙(かわはら りさ):
田端のドラッグストアでのバイト仲間。
田端が4年生の時に1年生。
田端にヤンキー女子大生と呼ばれる。
田端に勧められてモアイに加入するが、もともと自分に酔っている人たちが好きなため、その後は積極的にモアイの活動に参加するようになる。
4年生の時にモアイの後継団体の部長となった。
テン/天野:
モアイの幹部。
イベントでは司会を行う。
チャラいが悪くない奴と薫介は感じ、モアイを壊す活動から薫介が抜ける原因となる。
脇坂(わきさか):
モアイを外部者として支援し、モアイの発展に寄与した。
諦念という言葉がそっくり似合う表情をし、飄々としたたたずまいをしているが、お節介な一面があり、すべての事を理解し後悔した田端を支援する。
秋好と恋愛関係であったこともあった。
【青くて痛くて脆い】ネタバレ|秋好は死んだ?秋好の嘘って何?

秋好は死んだ?
※ここからネタバレが含まれますので、ご注意ください!
「秋好はもういない」という楓の言葉。
普通、もういないということは、秋好は死んでこの世にいないと思います。
と思いました。
もういない=楓の好きだった秋好がもういない
読み進めているうちに、もういないというのは、楓が好きだった頃の秋好がいないということが分かります。
途中から、【あの人】が秋好だと確信するようになりました。
秋好が2年で変わりすぎて、人間ってここまで外面も内面も変わるんだろうか?と疑問でした。
しかし、秋好の気持ちの変化については一切書かれていないので、想像するしかありません。
何が彼女をそこまで変えてしまったのか?
それが最大のミステリーでした。
映画では、サスペンスと謳っていますが、サスペンスではないと思います。
秋好の嘘
秋好の嘘とは、あくまで楓側からみたものです。
私は、秋好は嘘をついたわけではないと思いました。
人って、月日が経つと変わっていきます。
良くも悪くも。
秋好は最初、世の中を良くするためにという思いで【モアイ】を立ち上げました。
モアイが、就職活動支援をメインにするサークルに変貌してしまったことは、悪いことなのか?
ある意味、色んなものが変わっていくのは自然です。
私は、楓自身が出会ったころの秋好の思いが好きで、それが踏みにじられたことに対する怒りからモアイを潰そうと決意したように感じました。
それは、結局相手の気持ちや立場を考えているようで、自分のことし考えていない青さでした。
だけど、この青さが自分の昔と被り、苦い思い出が蘇ってきたりしました。
【感想】「青くて痛くて脆い」

私がこの本で感じたテーマは、「居場所」と「変化する人間関係」なのかな。と思いました。
この本を読み終わった後、心のどこかにひっかかりを感じました。
と考えてみると、私も学生時代「居場所」と「変化する人間関係」に悩み傷ついてきたからでした。
今でも自分が正しいと思うと、相手の立場や気持ちを考えないところがあります。
なので、楓の青さと痛さを見て、反省したり。
けれど、楓には共感できるところと出来ないところが、はっきりと分かれました。
自分で勝手にモアイを辞めたかと思ったら、こんなモアイの在り方は間違っている!と急に思い立ち、正しくない方法でモアイを壊そうとします。
楓のバイトと大学の後輩川原さんが言う
「安全圏で笑ってる奴らってゴミっすよね」
というセリフ!
この辺からの楓が本当にうざい!
青くて脆くて痛いのは、秋好もだけど、楓が一番ですね。
楓視点で書かれている為、秋好がなんで変わってしまったのか?は、分かりにくいです。
楓の場合、自分の心情を吐露してくれるので、青さや痛さがよく分かります。
でも、この青さや痛さがあったからこそ、後に彼は成長できたと思うのです。
これがなかったら、楓は自分の殻に閉じこもったまま大学を卒業し、やる気のない死んだ眼をした社会人になっていたことと思います。
一人の人間の成長には、間違いを犯し死ぬほど痛い目にあうことも大切だよな、と感じました。
【青くて痛くて脆い】の小説を読んで、感動はしなかったけど、心にどこかにひっかかりを覚える作品でした。
過去の自分の痛さを思い出したり、自分を今の在り方を振り返りたい方にはお勧めな作品です!
ここまでお読み頂きありがとうございました。